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天候、土との付き合い方

 天候、土との付き合い方

琵琶湖の面を照らす十五夜の月。夏の間、他の場所で過ごしたヒシクイなどの渡り鳥たちの姿。黄色に色づいた木々と大気の水分を通し黄金色に煌めく夕陽。天日に干され、風に揺れる稲。福田屋の窓からは、自然と季節が織り成す美しい景色を眺めることができます。

そんな場所で作られる味噌や米といった作物の収穫時期がやってきました。福田屋で提供される食事に纏わる生産者の方々と改めて会うことで、秋の収穫という年に一回の出来事がいかに大切で、かつ基礎となっているかに気づかされます。

マキノの地は毎年、天候状況が大きく変わります。梅雨の時期が長かったりすると、それが災いし、作物の育ちが悪くなってしまうのです。そのため、みなくちファームは大小様々な畑をもち、毎年の兆候を読み、それに合わせながら野菜を育てています。農薬を使えば、そういったリスクを容易くカバーできてしまうかもしれません。しかし、彼らは農薬を一切用いず、有機にこだわり続けています。彼らが確信しているのは、土壌には豊富な栄養分があるという、当たり前なようで今や見過ごされてしまっている事実。それを生かしながら野菜を作るためには、作物の成長を邪魔する雑草を一本一本、丁寧に抜いていくしかないのです。雑草で覆われた畑の面を茶色に戻した時、彼らは達成感を得ると言います。

南瓜の収穫。金蓮花や人参の手入れ。次にやってくる冬に向けたレタスの準備。昨冬に漬けたぬか漬や原木椎茸の発酵具合のチェックなど。秋口、彼らは忙しなく働きます。米麹や米糠は信頼のおける仲間で針江のんきぃふぁーむを営む石津大輔さんから頂いたもの。

 

 お米による巡り合わせと結束

米農家の石津さんにとっても秋は一年で最も忙しい時期。稲を刈り、天日に干して、必要に応じて精米。言葉で並べると単純なように思われてしまうかもしれませんが、それぞれの工程には、大きな労力と時間がかかるのです。出来上がったお米は福田屋のような小さな旅館や大量のお米が要る上原酒造など、色々なお客様のところへ送られていきます。

福田屋では主の西村が、針江のんきぃふぁーむで精米されたお米を、日々の状態や環境に合わせて水の量を調整し、丁寧にかまどで炊き上げています。一方、上原酒造は自ら精米をし、その度合いによって方法を変えてお酒を作っているため、脱穀していない状態でお米を受け取っています。彼らが求める品質を実現させるためには、精米の手間と追及が不可欠なのです。そろそろ店頭に並び出すのは、暑い夏を耐えて熟成したひやおろし。そしてまた訪れる冬の忙しい醸造シーズンを乗り切るために、上原酒造では樽のメンテナンスなどの準備が始まります。

日本人にとってお米は欠かせないもの、ということは自明でしょう。さらに近江の地では、生産者のコミュニティで重要な役割を果たしています。針江のんきぃふぁーむの収穫のサインは新米の訪れを告げるだけでなく、ぬか漬けやひやおろしの知らせでもあります。近江のお米は巡り合わせと結束を生んでいるのです。

農家(野菜):みなくちファーム
https://minakuchi-farm.shop/

農家(米): 針江のんきぃふぁーむ
http://nonkifarm.com/

蔵元:上原酒造
http://furosen.com/

 

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